※「NPOで高校生の夏ボラ体験」にて、当法人で活動した高校生がNPOへ取材・執筆した記事です。


市民活動団体・メディアデザイン!

メディアデザインとは、市民の情報発信・表現活動を支援することを目的に2004年に立ち上げられた任意団体です。私たちはメディアデザインの代表である伊東利光さんにお話を聞きました。

メディアデザインは2012年にNPO法人格を取得し、5年間にわたり市民の情報発信の支援等の事業を主に活動していました。

しかし、法人として活動するには事業報告書の提出などの作業が必要になります。人手不足も重なり、このような作業は大きな負担でした。サポートしたいという気持ちがあっても引き受けられず、何度か相談された依頼を断ったことも多くありました。

自分たちがやりたいことをしたい、もっと色々な人のサポートをしたいという思いから、メディアデザインは2017年に法人を解散しました。現在は任意団体という形で活動を続けています。

 

Fish Are Eating Plastic

メディアデザインの活動のひとつに、海洋プラスチックごみを活用したピンバッジの制作・販売があります。ピンバッジのタイトルは、「FAEP」。”Fish Are Eating Plastic(魚たちはプラスチックを食べている)”の略です。このタイトルとピンバッジのデザインは、伊東さんが考案しました。

ピンバッジは、より多くの人に海洋プラスチックごみの問題に関心を持って貰いたいという思いで制作しています。売上の一部は「地球環境基金」に寄付しているそうです。

もともと、海が好きだった

伊東さんにピンバッジを作り始めた背景を聞くと、「もともと、海が好きだったんですよ」と、笑顔で語ってくれました。幼い頃は福島県の内陸部の郡山市で育ち、海に行く機会はあまり無かったという伊東さん。大学生になってからは、友人などと海に行く機会が増えたそうです。そんな中、伊東さんは「オイルボール」に出会います。

オイルボールは、油を主成分とする白色から灰褐色の固形物で、家庭や事業所からの排水に含まれる油分や汚物が固まったものです。下水と共に排出され、海に流れ着きます。「こんな海では泳げない」。伊東さんは、この出来事から海の環境に危機感を抱くようになりました。

 

ピンバッジ誕生

メディアデザインを立ち上げてからは、色々なNPOと関わる機会が増え、海洋プラスチックを集めている団体とも知り合っていった伊東さん。そんな中、2011年3月11日、震災が発生しました。震災後、人が訪れなくなった海を見て、「この海を、また人が集まる安全で美しい場所にしたい」という思いが湧いてきました。災害ごみを片付けていくうちに、海洋プラスチックごみの多さにも気づいたといいます。



その例として挙げられるのが、牡蠣の養殖に使われるまめ管というプラスチック製のパイプです。牡蠣の幼生を付着させたホタテの貝殻同士が触れ合わないよう、まめ管と貝殻を交互に針金やロープに通します。このまめ管が数多く海岸に漂着しており、その活用法について市民の方から相談された伊東さん。

元々作っていた針金で作った魚を貝殻にくっつけたスタンドに、レジンを活用して魚にプラスチックを入れ込むという案を思いつきました。そこからより小さく、手に取りやすい形を考えた結果、今のピンバッジが生まれたのです。

 

さいごに


今回伊東さんにお話を伺ってみて、その暖かな人柄にとても魅力を感じました。伊東さんは終始笑顔でお話ししてくれて、実際に商品などを見せながら私たちに伝わるようにお話をしてくれました。私たちの将来やりたいことについて逆に質問したりもしてくれて、楽しい時間を過ごせました。

また、伊東さんの市民活動団体として活動する決意や、海を守りたいという思いを聞く中で、この「思い」が活動の原動力になっているのかもしれないと感じました。誰かの為に、大切なもののために、という思いが、暖かな人柄を作りあげているのかもしれません。

2021年の5月からは、みやぎNPOプラザのショップスペースにて「メディアデザイン工房」を運営しています。ハンドメイド作品やオリジナルポストカード、そして紹介した海洋プラスチックのピンバッチも販売されています。
皆さんも工房の作品を手に取って、伊東さん達の思いに触れてみてほしいです。