震災から5年の歳月を経て『住民互助福祉団体ささえ愛山元』の「今」
山元町で「助け合いの精神に基づき、安心して老いるために」を合言葉に、
居宅、通所、宅老、移送などの介護事業を行うとともに、手芸教室などのサークル活動を通して、
地域住民の楽しく集える居場所を提供している住民互助福祉団体ささえ愛山元さん。
震災で、施設1棟は全壊、もう1棟も大きな被害を受けました。
「当時は途方に暮れる毎日だった」と代表の中村怜子さんは当時を振り返ります。
それでも、日常生活費が優先となり、デイサービスに通う余裕がない人が多い現状を目のあたりにし、
地域みんなの心の拠り所になる場所を作ろうと活動の再開を決意されたと言います。
震災直後は、仮設住宅を訪問支援を続けながら、被害を受けた施設の改修工事を進め、
同年10月に利用者の受け入れを開始。
そして、2年後2013年8月には、津波で流失したもう1棟に代わる新たな施設を高台にオーブンしました。
当初、復興みやぎで掲げた募金の目標額は1,700万円。
しかし、再建費用は大きく上回ります。
行政の補助金を得ても、目標額を超える費用が必要となり賄う当てはありませんでした。
そんな時『復興みやぎ』の寄付をはじめ、全国から応援金が届き、
施設再建に加え、運営に必要な備品等も整えることができました。
「震災後、全て失い、ゼロからのスタートでしたが、たくさんの温かいご支援をいただき、感激しました。
今も個人の方から、寄付が届きます。皆さんからのお志を大切にして、前へ進んで行きます」
と中村さんは優しく頼もしい口調でお話しくださいました。
今は毎日が楽しいという中村さんが、
コミュニティづくりの一環として昨年からはじめた「ワンデイシェフ」は、
地元の女性が交代で一日シェフを務め、昼食を囲む交流会として、毎回満席という大変な人気ぶり。
料理を提供する側味わう側双方が交流を深め、生きがいにもつながっているといいます。
山元町では、震災後に高齢化が加速し、35.7%と県内では4番目に高い高齢化率。
このような交流や生きがいにつながる居場所が今求められています。
「これからも地域の復興の一助になる息の長い活動を続けていきます」
と話す中村さんの背後からは、とても楽しそうな声が聞こえてきました。