震災から5年の歳月を経て『みやぎ身体障害者サポートクラブ』の「今」
栗原市のみやぎ身体障害者サポートクラブさんは、
事故や脳血管疾患等による中途障がい者の方々が、
多くの仲間とともに助け合い、生きがいを見つけながら自立し、
社会参加できるよう支援している場所です。
東日本大震災当時は、デイサービス&ショートスティができる施設と
介護保険でのデイサービス施設の2棟を運営していました。
沿岸部に比べれば大きな被害は免れましたが、
度重なる地震により、デイサービス事業所「ころんぶす清水」は倒壊の危険性が高いと診断されました。
利用者の安全を考え、新しい施設再建に向け、資金獲得に翻弄する中、
全国からの寄付が届き、民間の助成金も得ることができました。
「自己資金でまかないきれないところを多くの皆さんに助けられました。心から感謝しています」
と理事長の野澤さん。
2011年から10年継続支援がある、
株式会社デンソーの『はあとふる基金』による助成や
デンソーOB会や個人の方からの寄付は今も続いていると言います。
震災後はこわばった表情だったという利用者さんの表情も日に日に笑顔に戻り、
俳句、音楽、農園芸などのサークル活動や様々なイベントでも、毎回盛り上がるそうです。
団体の理念である
「障害を負っても、その人らしく、イキイキと、地域の中で、仲間と共に輝いていける道づくりを支援」
に基づく利用者さん主体の細やかなサポートと、
野澤さんのまっすぐな誠意と優しさが、
今回お話しをお聞きするなかで、切に伝わってきました。
2013.4.5 震災から2年
震災から2年が経った現在、ディサービスの利用者がだんだんと多くなっています。
それは、今までは日中一人で過ごしていた高齢者の方やご家族がいらしても、日中留守にするというご家族が、今回の震災の経験から、自宅で1人過ごすことに不安を感じ、利用が増えているのではないかと、代表の野澤さん。
利用者が増えたことで、今後3年以内には、現在の施設増設も視野に入れています。
しかし、増設には7000万円もの費用が必要だと、現時点でわかり、
助成金申請や、寄附金を集めるため日々奔走しています。
最近嬉しい出来事があったと野澤さん。
大阪の特別支援学校の生徒さんたちが、インターネットを通じて
「NPO法人みやぎ身体障害者サポートクラブ」の活動を知ります。
自分たちも、被災した方のために何かできないかと、考え
アルミ缶を売って、得た金額を寄附するということを決め、
卒業生、地域の方々が一体となり、アルミ缶を集めました。
そこで得た金額を「復興に活かしてほしい」という、手紙とともに
「NPO法人みやぎ身体障害者サポートクラブ」に届けられました。
受け取った時はスタッフ、利用者さんと驚きと嬉しさでいっぱいだった、
と野澤さん。
内陸部の震災の影響は、あまり知られていないなかで、
こうして活動を応援してくれる方がいるということを
あらためて実感し、今後もよりよい活動になるよう、
努めていきたいと話してくれました。
震災で見えてきた新たなニーズ
みやぎ身体障害者サポートクラブが震災によって直接抱えた傷、施設倒壊の可能性は多くの方からの寄付・協力によって現在では払しょくされています。「みなさんのおかげで利用者・スタッフとも元気でやっております」とは理事長野澤タキ子さんの言葉。
とはいえ、震災の影を引きずっていないわけではありません。震災以降、それまで自宅で生活していた身体障がい者の方がサービスを
利用することが多くなったそうです。震災の際、自宅生活者への支援が相対的に遅れたことで、いざというときに対する不安が大きくなったのではないかと野澤さんは考えています。みやぎ身体障害者サポートクラブでもショートステイの利用者が増加し、ショートステイ施設増設の必要に迫られています。
また、野澤さんは以前から考えていた身体障がい者のためのグループホーム建設を実現させようとしています。じつは栗原周辺には身体障がい者を受け入れる入居施設がなく、そういった施設への入居を望む人々は気仙沼唐桑まで行かざるを得ないのです。
このような事情から、みやぎ身体障害者サポートクラブでは3年以内をめどに、グループホームとショートステイを合わせた施設を新たに建設予定です。概算の見積もりでは建設費用が6000万円必要。身体障がい者用施設はバリアフリー化など設備に多額の費用がかかってしまうのです。
その建設費用を賄うためにいかに寄付を集められるか。その手段の一つとしてみやぎ身体障害者サポートクラブが考えているのが、認定NPO法人化です。認定NPO法人になれば寄付者にも税額控除のメリットが生じるため、現状よりも寄付が集めやすくなるのではと期待しています。
震災によって、これまで見えてこなかった身体障がい者用施設への隠れたニーズが顕在化しています。そしてそのニーズを受け入れる受け皿があまりないという現状。その課題を解決しようと活動しているみやぎ身体障害者サポートクラブへ、今後もご支援をお願いします!
2012.5.28 株式会社デンソー「はあとふる基金」の贈呈式
みやぎ身体障害者サポートクラブは、今までの「サポートセンターころんぶす」と同じ敷地内に
今年の4月に「ころんぶす西館」として、完成しました。
利用者の方々は、現在18名が登録しており、ゆったりとした時間のなかで思い思いに過ごしています。
今回の株式会社デンソー「はあとふる基金」の贈呈では、
「震災から1年経ちましたが、こうして県外からも応援していただけるということが
活動の励みになります。気が引き締まります」と代表の野澤さん。
デンソーはあとふる基金の詳細は、こちらhttp://www.denso.co.jp/ja/csr/social/social/member/index.html今回は、東日本大震災で被災した団体を今後も継続して支援していく取組みとして、2011年10月から開始。2011年度から10年間デンソーおよびグループ社員の寄付金で運用する「はあとふる基金」から年間積立金のおよそ半額を寄付することを決定。
寄付先は、震災の遺児や孤児の就学支援団体や、障がい者支援を行っている団体です。
2012.4.4 施設完成しました!
度重なる地震により「倒壊の危険性が高い」と診断された、デイサービス事業所「ころんぶす清水」は、今年4月に「ころんぶす西館」として新しく生まれ変わりました。
地元栗原市の設計会社、施工会社の協力によりほぼ工程通りに完成することが出来ました。
なるべく、利用者さんには自宅にいるような感覚でいてほしいという思いで設計し、キッチンやトイレ、お風呂なども利用者さんのことを考え随所に工夫をこらして建築し、とても温かみがある施設となっています。
「施設再建に向けて、借入や自己資金で賄いきれない部分を民間の助成金や寄付金をいただくことが出来、本当に感謝しています。」と代表の野澤さん。
施設の再建で使用した助成金や補助金
・国庫補助金(災害復興補助金) :2,900,000円
・損保ジャパン記念財団 :1,000,000円
・ゆめ風基金 :2,500,000円
・日本フィランソロピー協会 : 440,000円
・その他個人からの寄付金
2011.12.16 着工しました!
2011.11.9 施設再建へ
みやぎ身体障害者サポートクラブでは地震で「倒壊の可能性が高い」という判断をされた施設の再建に乗り出しています。栗原市の土地を借り、今月から建築する予定です。
しかし、このケースの施設の建築には行政からの補助金は全くでません。
支援してくれる助成金や団体を探していますが、金額も大きくなかなか集まりません。
倒壊や浸水など、はっきりと目に見える被災ではなく、中途半端な被災だと支援を受けることは難しいのでしょうか。
中途障がい者の支援から始まり、しっかりと地域に根差した活動を行ってきたみやぎ身体障害者サポートクラブに支援をお願いします。
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