放送で情報と町民をつなぐ/りんごラジオ
宮城県山元町は県内有数の果物の生産地。海沿いにはイチゴハウス、山沿いにはりんご農園が広がります。
山元町では震災により町の広報車が流されました。防災無線も使えず、震災直後は町民に情報を伝える手段がありませんでした。そこで町、それに住民にも情報発信が必要と考えた元東北放送アナウンサー高橋厚さんを中心に災害臨時FM放送局「りんごラジオ」(以下、りんごラジオ)が立ち上がりました。
りんごラジオでは町内の被災状況や安否情報、医療情報などを毎日午前7時から午後7時半まで生放送しました。町内の住民、町外の方にタイムリーな情報を届け、町長や副町長も日替わりで出演し町民に話しかけました。町民から身近な存在となり、局を訪れる人も増えました。
夏休み、冬休みには小中学生が出演する『りんごっこ』企画を実施しました。「子どもたちの明るい声が、元気をなくした大人をはげましてくれる」と高橋さん。山元町の小中学生がインタビューや童話の音読を行いました。
震災から今年の3月11日で3回忌。山元町でも復旧・復興の形が徐々に見え始めてきました。イチゴ農家からはイチゴが出荷され、町が計画している新市街地周辺の災害公営住宅の入居募集も一部で始まっています。町内では1日4000台のダンプカーが行き来しています。
りんごラジオでは、こうした復旧、復興の模様や、仮設住宅での催し、成人式、そして町議会中継など「町の今」を柱に、山元町の情報、話題を伝えています。
震災後に誕生したたくさんの臨時災害FMラジオ局のなかにはその後コミュニティFMラジオに移行したところもあります。りんごラジオも「地域のラジオ」として、コミュニティFMラジオに移行し、引き続き「山元町の今」を発信して行きたいと思っています。