『やっぺす』
　「一緒にやりましょう」という意味の石巻地域の方言です。ＮＰＯ法人石巻復興支援ネットワーク（以下、やっぺす）はこの「やっぺす」を愛称として石巻で活動している団体です。もともと石巻市で子ども向け環境教育や育児中の親を支援してきた「子どもと環境を考える会」を母体としており、メンバーの大半は地元の母親たちです。
　震災後、石巻市には県外から多くの支援団体や企業が訪れました。やっぺすでは2011年5月の団体立ち上げ以来、それら団体や企業と地元のニーズとをつないできました。
　8月からは、石巻市開成地区の仮設住宅団地のコミュニティ形成支援を実施。
「ただイベントを開催するのではなく、年齢、性別など、参加者に偏りが出ないよう工夫しています」と代表の兼子佳恵さんは言います。イベントの内容はお茶会、日曜大工、手芸やメイク、詩吟、ヨガ教室など多岐にわたっています。
　また、4月には「やっぺす！　起業支援ファンド」事業を開始。この一年間で、飲食やものづくりなどに取り組む20団体に起業支援を行っています。
　この他には育児や介護中の女性らを対象に、ＰＣや経理などのスキルを研修する人材育成スクール、宮城県と関西の学生が合宿形式で被災地の住環境改善に取り組む「石巻復興ワークキャンプ」などを開催しています。
　昨年12月には石巻市南境地区に子どものための遊び広場「いしのまきわんぱーく」がオープン。これはもともと地元の自治会が管理していた広場を地元住民の協力を得ながら、やっぺすが整備して作った公園です。遊具や街灯などは企業から寄付されたもの。設立以来、多くの団体をつないできたやっぺすの顔の広さがあったからこそ、今回の開設に至りました。